2023/11/27 23:17
Book making binds split parts 現在、世界のさまざまな都市で文化背景の異なるひとたちがインターナショナルなアートブックフェアに集いあい、そこにはLOCALな芸術家がいて本を作る営みが同じようにしてある。「アートブック」自体の捉え方が各々違うのに、お互いの制作した本を見せあい「これいいね」と会話が成立する。そこには国家という統治機構とは別の、しかし知り合いを超えた共有がある。それはもう友達だ。 我々もまた2018年に初めてベルリンのアートブックフェアに参加して以来いろんな国に行ったことで、日本で災害があれば「だいじょうぶだった?」とメッセージがきたりするようになった。僕も彼らの住む地域で災害、コロナ禍、独立運動があればたとえ行くことができなくても、いまどんな状態か調べたり、自然と案じる気持ちが湧いてくるというもの。…そして今も戦闘中の地域に住む芸術家がいる。 イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザでイスラム原理主義組織ハマスへの攻撃を続けるなか、そこにも芸術家がいて本を作る営みが同じようにある。僕は彼らにも彼らの作った本にも会いたい。彼らもまた同じ想いのはずで、ひとや本の行き来が制限されて文化の交換ができなくなること、まして戦火によって失われてしまうことはあってはならない。 zineはインディペンデントでローカル、その独立性が語られるが、しかし孤独であることとは根本的に異なる。パレスチナ人とイスラエル人が同じテーブルに、お互いの文化の異なる本を並べられる場であり続けることが今日の BOOK FAIR の意義だ、とまだ会っていない友達のためにこの文化の連帯を示す、それがこのステイトメントである。 この呼びかけに、アーティスト・東地雄一郎が応答する。 Cutting for Surface (making weight) by 東地雄一郎
地図を真っ二つに切り地層をみようと試みる。
その結果、重みというリアリティを確認することができた。
本来、私たちが目にすることができないはずである、地層を仮想として立ち上げる。
この仮想を ”みたことの代理” と呼ぶことにした。
私は、パレスチナをみたことがないが知っている。
私は、この地図をつかって制作する。
もし1つの地表が2つに分かれたとしても、地球の遙か深くでつながって1つかもしれない。
みたことの代理とは、”みたことがないもの” をみたことがある仮想に置き換えることで思考を先に進める手つきである。
これまでの歴史は、世界は写真を通してたくさんの歴史や事件を目撃してきた。
アポロ計画やハッブル、ボイジャーは、私たちに宇宙をもたらしてくれた。
いま私たちが既知としている、戦争の報道や地球の姿も同様である。